2007年9月27日
ここ最近,首都大学東京オープンユニバーシティにて11月に開講する「心理学を楽しむー失敗の心理学」の準備として,失敗やヒューマンエラーに関する文献に触れる機会がありました.医療現場に携わるセラピストの方々にとっては,大学病院等における患者取り違え事故など,ヒューマンエラーが重大な問題となる職場で働くため,決して等閑視できる話題ではありません.
このページでヒューマンエラーに関する文献を紹介しようと考えた主たる理由は,ヒューマンエラーには多種多様な知覚的,認知的要因が関わっており,エラーの事例を深く学ぶことで,人間の知覚や認知の特性を,リアルに体感できると考えたからです.
これらの文献の多くは,医療事故のような重大なヒューマンエラーと,日常のうっかりミスには類似したメカニズムが作用していることを教えてくれます.「冷蔵庫の扉を開けた途端、その目的を忘れてしまった」など,私たちが普段体験するうっかりミスの事例を楽しみながら,その背景の心理メカニズムを学び,職場における重大なミスの防止に役立つ方法を考える,良い機会を提供してくれるかもしれません.
専門的学術書
- 大山正・丸山康則(編) 2006 事例で学ぶヒューマンエラー.麗澤大学出版会
- 小松原明哲(著) 2003 ヒューマンエラー. 丸善書店
読みやすい文庫本
- 海保博之(著) 2005 「ミス」をきっぱりなくす本 成美堂出版
- 芳賀繁(著) 2004 失敗の心理学 日本経済新聞出版社
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